2026
Sado City, Niigata
92㎡
House
デザイン:今井博康
協力事務所: OBJECTAL ARCHITECTS
構造計画協力:中安耀
施工:株式会社共立テクノ 境伸幸
写真撮影:村井勇、今井博康
































定年を迎えた夫婦のための、終の棲家となる平屋住宅プロジェクト。
北側に迫る裏山の土砂災害警戒区域(レッドゾーン)を躱し、東にある既存の日本庭園との関係性を再構築。南西側に車と人の動線を確保することで、建物の配置と平面のプロポーションが自ずと導き出された。
LDKは東向きに日本庭園と正対させ、周囲を個室が取り囲む構成とした。 基本の天井高さを2160㎜と低く抑え、DKの上部には倍の高さ(4320㎜)になるようにボリュームを載せ、平面的に角度を捻った。この操作により、DKと回遊動線を覆うように、部屋を越境する吹抜け(緩衝空間)が生まれた。
吹抜けボリューム(中間領域)の南北には、四季の変化に対応した採光・換気と、北側の裏山と立体的に接続するための開口を設けた。 各室で形状、サイズ、方角の異なる吹抜けは、光の入り方、外部的開放感と洞窟的安心感、視線の向け方のパラメーターに変化をもたらし、単純なボリュームでありながら、部屋ごとに全く異なる複雑な印象と効果をもたらした。
ワンルームと個室群の集まりの間にある新たな豊かさを作ることが出来た。
■外観
農家住宅に見られる、納屋などが独立して並ぶ「分棟型」の群としての風景を、既存の2つの黒い切妻屋根に、新設した2つの黒い矩形を寄り添わせることで再構成した。
■吹抜けを介して重なる認知領域
部屋を越境する吹抜けは、視線の高さでは各室のプライバシーを確保しつつ、上部空間を共有することで、隣室の領域までを自室の一部として知覚させる。互いの空間が上空で越境し合い「認知領域」が重なることで、実際の物理的な面積以上に空間が拡張されたような広がりを生み出している。
■中間領域としての吹抜けと仕上げ
吹抜けを、外部と優しく接続する「中間領域」として位置づけた。
室内から外部を眺める際の「明暗のコントラスト」を内部に再構成すべく、低層部は焦げ茶色のラワン合板を用いて重心を下げた洞窟的な空間とし、対照的に上部吹抜けは設備的なノイズを排除した白く無機質な仕上げとした。この切り分けが、吹抜け部の距離感やスケール感を消失させ、快晴の空を見上げるような開放感が生まれ、半屋外のような中間領域として内外を繋ぐ緩衝空間として機能する。
■構造
5400㎜角の吹き抜けを、無柱のまま入手が容易な材で実現するため、屋根にはレシプロカル構造を採用した。さらに上下の空間を視覚的に切り離して見せるため、吹き抜け内側の間仕切りは構造から解放された雑壁とし、ボリュームが噛み合うのを避けた。